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- comme l'ambre -

2015年12月1日開設

素敵な下町で ―『ニューヨーク 眺めのいい部屋売ります』を見て―

今年に入ってから、偶然にも映画館で、ダイアン・キートン出演の映画を2本鑑賞しました。

しかも、どちらの作品も、が物語のキー"パーソン"でもある映画でした。

その2本の映画とは、『ニューヨーク 眺めのいい部屋売ります*1『クーパー家の晩餐会*2です。

今回は、『ニューヨーク 眺めのいい部屋売ります』について感想を書きたいと思います。

 

ニューヨーク、ブルックリン

エレベーターの無いアパートの5階に住むカーヴァー夫妻が、老後に備え、今のアパートを売り払い、エレベーターのあるアパートに引っ越そうとするお話です。

主な登場人物は。

レックス・カーヴァーを演じるのは、モーガン・フリーマンルース・カーヴァーを演じるのは、ダイアン・キートン。なんと驚くべきことに、この2人の名優は、『ニューヨーク 眺めのいい部屋売ります』が初共演なんだとか!

カーヴァー夫妻の不動産売買を一手に担う不動産ブローカーが、カーヴァー夫妻の姪のリリー。演じるのは、SATC*3ミラン役で有名なシンシア・ニクソン。私は、「ミランダ」目当てで、この映画を見に行った口です。

そして忘れてはならないもう"一人"登場"人物"が、カーヴァー夫妻の飼う愛犬ドロシー。カーヴァー夫妻が不動産売買で忙しい最中、ドロシーは病気になってしまいます。

 

カーヴァー夫妻は早速、リリーが手配してくれた通り、アパートの「内覧会」を行うことから始めます。が、折りしも、カーヴァー夫妻のアパートの近所ので起きた事故が、次第に事件の様相を帯びてきて、このことがアパートの相場にも影響を与えてしまいます。果たしてカーヴァー夫妻は無事に引っ越すことはできるのか?愛犬ドロシーの病気の具合は?

カーヴァー夫妻のバタバタとした数日間の空騒ぎが始まります。

 

この映画では、本当に、ただただひたすらに素敵な夫婦の姿が見られます。

長年2人がお互いを思いやり、リスペクトし合ってきたことが伝わってくるような場面が沢山ありました。

ルースは、アレックスの体を労り、心配しているからこそエレベーターのあるアパートへの引っ越しを決断します。一方のアレックスは、本当は気の進まない引っ越しではありながらも、ルースの気持ちを汲んで、温かく見守ります。

そんな思いやりに溢れる二人の様子は、本当に理想的な夫婦関係に思えました。

 

また、若かりし日のアレック*4とルース*5、2人の出会いの場面もとても素敵で、私が気に入ったシーンの一つです。

画家であるアレックスの元に、絵のモデルとしてやって来るルース。

「どうして私をモデルに選んだの?」とルースがアレックスに尋ねます。

その問いへのアレックスの答えが、とてもいいんです。

その答えとは、

「君はリアルだから」

と短い一言。

ね?どうですか?

私は、シンプルだけど、ものすごくいい答えだなあって思いました。

正直言って、見ていて、心に響きましたし、少しときめきました。

モデルとして、ただ外見を描かれるだけじゃなくて、心の内まで見つめられてしまうような…。簡潔なのに、絶妙な言葉。なかなかの殺し文句だなと感じました。

 

そして、シンシア・ニクソン演じるリリーも、勿論良かったですよ。私の期待通りでした。

リリーは、仕事のできる精力的な女性。喋り方や歩き方、姿勢など全ての振る舞い・仕草から見るに、いつもせかせかせかせかと、とっても忙しない感じの人物。

不動産ブローカーとして十分プロである筈のリリーも、カーヴァー夫妻を前にすると、彼らに一人前と認められたいと頑張る余りに、反って子供っぽい一面が見えてくる気がして、そんなところが人間味があって良かったです。

リリーはプロとして、カーヴァー夫妻の不動産売買を無事成立させたくて必死です。ですが、売買は相手もあることなので、なかなかそう上手くは事は運びません。しかも、カーヴァー夫妻もリリーの思うように素直に動いてくれません、リリーは全面的に自分に任せて欲しいのにも拘らず。

おかげで、リリーの頑張りは、少し空回りしてしまいます。

リリーの奮闘空しく、カーヴァー夫妻は最終的に、リリーの意に副わない決断をしてしまいます。

その決断を聞かされた時の、リリーの反応と言ったら!もう!見ていて笑ってしまいました。リリーにしてみたら、カーヴァー夫妻に裏切られたという思いで一杯で、頭に血が上ってしまったんでしょう。

カーヴァー夫妻に対して、中指を立て、捨て台詞を吐きながら、肩を怒らせて大股で歩き去っていきます。

確か、私の記憶では、"F*** You both !" って台詞だった筈。

シンシア・ニクソンのその演技が、鮮やかで見事で、拍手を送りたくなるシーンでした。シンシア・ニクソンのああいう演技が、私はとても好きです。

 

それにしても、内覧会とかオープンハウスって、本当に大変ですね!

映画では、キャラクターの濃い人々が沢山押し寄せてきて、家主であるカーヴァー夫妻のいる前で、平気でインテリアや間取り等についてズケズケと!批評してきます。それに、中には、只の冷やかし半分みたいな人だってやってきます。

こんな状況、もし自分が家主の立場だったら…、と想像しただけでも、げっそりしてしまいそうです。

でも、そんな内覧会のシーンにも、心がほっこりするような場面がありました。アレックスが小さな女のコ*6と知り合いになるんですが、その2人の会話がとても楽しかったです。その女のコは、「(色んな家を見たけど)おじさんの家が一番ステキね」なんて「訳知り顔」で大人びた発言をしながらも、笑顔はとっても子供らしく可愛いらしいんですよね。可愛いシーンです。

 

そして、ヴァン・モリソンHave I Told Latelyをバックグラウンドミュージックに、ブルックリンの街並みをスクリーン一杯に感じながらエンディング。心地良い気分で映画を見終えることができました。

本当に、モーガン・フリーマンダイアン・キートン演じるカーヴァー夫妻、素敵でした。2人の名優の初共演作品は、見る価値ありだと思います。

 

なんだかアーモンドがくっついてるみたいになっちゃったけど…一応カーヴァー夫妻の愛犬ドロシーのつもり。

伝わる?

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*1:原題は、5 flights up

*2:原題は、Love the Coopers

*3:SEX and the CITYシリーズ

*4:演じるのは、コーリー・ジャクソン

*5:演じるのは、クレア・ヴァン・ダー・ブーム

*6:演じるのは、スターリング・ジェリンズ