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- comme l'ambre -

2015年12月1日開設

ブルーのマノロ・ブラニク ―『サヨナラの代わりに』を見て―

映画

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ジョシュ・デュアメルが出演していると知り、『サヨナラの代わりに*1を見て来ました。

ALS筋萎縮性側索硬化症)についての映画でした。

内容について全く知らずに見に行ったため、予想外のテーマでしたが、頭の中で、「ああ、あのアイスバケツチャレンジの…」とすぐに分かりました。やはり、あのアイスバケツチャレンジって認知度向上に効果があったんですね。こんな私でも、すぐに分かるなんて!

特に映画の後半、涙が溢れました。

人はどのように生きて、どう人生を終えるのか、ということについて深く考えさせられました。

 

主演はヒラリー・スワンク、本作では難病ALSを患った裕福な女性ケイトを演じています。

ケイトの夫エヴァジョシュ・デュアメルが、ケイトの介助者ベックエミー・ロッサムが演じています。

映画『サヨナラの代わりに』は、ケイトのALS発症をストーリーの主軸にして、患者と介助者の友情関係や、夫婦の愛情関係、患者同士の友情関係…等々、様々な愛を描いたお話です。

その中で、メインとなるのは、ケイトとベックの友情物語です。 

ケイトとベックの出会いは、ベックが、ケイトの介助人募集の面接を受けに来たことから始まります。

介護どころか、野菜を切ることさえ出来ないというレベルのベック。それなのに、なぜかベックを採用するケイト。これには、ベック自身も驚きます。てっきり面接に落ちたものと思っていたのに予想に反して採用される訳ですから。

綺麗な言葉遣いのケイトと汚い言葉遣いのベック、正反対の二人は不思議なことに、段々と気が合い、心を通わせていきます。

ベックは、ケイトに信用され必要とされるという経験を通じて、自信を付けていきます。映画は、ベックの成長物語でもあると言えます。

 

いつも「病」を扱った映画やドラマ等を見て思うのですが、運命って本当に残酷ですね。

なぜ病気になってしまったのか…、考えても考えても答えは出ないし、現実をいくら受け入れたくなくても、受け入れるしか道はないからです。

事実を受け入れなければ、QOL*2だって追求できません。

また、人は病に脅かされて人生の岐路に立った時、重要な決断を下すことを迫られたりもします、それも短時間の内に。選択肢さえない場合もあることを考えると、何かを決められるだけまだ良いとも言えるかもしれませんが…。

そして、その重要な決断も、立場によって何が最良なのか、異なってきます。

患者の希望と、患者を取り巻く人々の希望は、必ずしも一致する訳ではないからです。

最終的には、全員が納得する決断ではなく、当事者である患者の気持ちを最優先に決断しなければならない、と頭では分かってはいてもなかなか難しいのが、実際なのだろうと思います。

 

この映画の中で、最重要の決断を下すことになるのは、家族ではなく、なんと介助者であるベックです。

なぜベックなのかと家族は困惑します。しかし、病に侵され判断が出来なくなってしまったケイトに代わって、ベックにケイトの生死を決断してもらうこと、それがケイトの望むことなのです。例え家族が納得できなくても、ケイトの希望を尊重しなくてはなりません。

私はこのシーンを見て、自分が患者の家族の立場だったら、と置き換えて考えてみました。とても承服出来ない、許せない気持ちが湧き上がりました。そして、いつまでも生きていて欲しい、とも感じました。

また反対に、ベックのように介助者の立場だったら、とも考えてみました。そこまで信頼を寄せてくれた嬉しさと同時に、決断への恐れを感じました。そして、患者の傍で、病に侵され生きていくことの辛さも十分見てきたことをどう考慮したらいいのか悩みました。

結局、私には、家族の立場であっても介助者の立場であっても、患者にとって何が最良の選択なのか、分かりませんでした。

でも「自分には分からない」と思った時、ハッとしました。つまり、「患者本人ではない」という意識が大切だということが分かったんです。

患者の人生の大事な場面で、良かれと思って患者の気持ちを勝手に推し量ってはならないし、自分の立場からの希望を押し通してはならないということに気付いたんです、本人じゃないのだから。

患者の意思を尊重する、という意味が、具体的なイメージで、初めて理解できた気がしました。

この映画を見て、ALSに限らず、病気に対して、どう向き合ったらいいのか、理解する手がかりを得られた気がします。

 

映画の中で、とても短い場面ですが、印象に残った、気に入ったシーンがありました。ケイトが、マノロ・ブラニクの青いハイヒールをベックに譲るシーンです。

ALS発症で車椅子生活となったケイトにブルーのマノロ・ブラニクはもう必要なくなってしまった。けれど、ベックが履いてくれることで靴としての役割を果たして輝いてくれます。

ハイヒールを譲ったケイトも、譲り受けたベックも、二人共、いい笑顔でした。物を受け継ぐって、いいなあ、素敵なことだなあ、と感じました。

 

そして、ジョシュ・デュアメルについてですが。

ちょっと嫌な部分も見せなければならない役どころでもありましたが、とても素晴らしかったです。

ALSを発症した妻に対して、愛情はあるし、献身的でもある。しかしながら、妻の突然の変化に付いていけないでいる複雑な様子の夫エヴァンを見事に演じていました。

 

ALSについても、登場人物の感情の揺らぎについても、本当に丁寧に描写された、感動的な映画でした。

見て良かったです。

 

ビバリーヒルズ青春白書 シーズン8 <トク選BOX> [DVD]

主演のヒラリー・スワンク。改めて、素敵な女優さんだなあとしみじみ感じています。

思い起こしてみると、私が初めて、ヒラリー・スワンクを知ったのは『ビバヒル』でした。

ビバリーヒルズ青春白書シーズン8、すごく懐かしいです。ビバヒルで、私の一番好きな男性キャストは、イアン・ジーリング演じるスティーブだったので、スティーブの相手役を演じていたヒラリー・スワンクは、とても思い出深いキャストです。

 

ヒラリー・スワンクの他にも、私にとって、お馴染みの俳優さんが沢山出演していました。ロレッタ・ディヴァインに、アーニー・ハドソンに、アリ・ラーター

『NIP/TUCK ーマイアミ整形外科医ー』トロイ役で有名なジュリアン・マクマホンも出ていました!

思いがけず、知ってる俳優さん達の熱演を見られて、嬉しかったです。

 

反対に、今まで知らなかったけれど、この映画で初めて知った、魅力的な俳優さんもいました。

ベックに思いを寄せるウィルを演じたジェイソン・リッターです。また違う作品で見たいなあって期待しています。

*1:原題は、YOU'RE NOT YOU

*2:クオリティー・オブ・ライフの略。