- comme l'ambre -

2015年12月1日開設

フランス語で「ワーワー」 ―『パリ3区の遺産相続人』を見て―

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ツイッターからオススメされて『パリ3区の遺産相続人*1を見てきました。

それはどういうことかと言うと、ツイッターのおすすめユーザー欄に『パリ3区の遺産相続人』の公式アカウントが表示された、という意味です。

映画の公式アカウントがおすすめユーザー欄に出てきたのは初めてのことだったので、それが少し可笑しくて、特に内容も調べず、勢いで映画館に向かいました。

結果は、二重丸。

とても面白かったです。ツイッターのオススメ機能もなかなか侮れませんね!!

 

主要な登場人物は3人

1人目は、マティアス*2

父親の遺産としてパリの物件を相続したマティアス。かなりの金欠で、彼のスマホは通話通信のできない只のデジカメと化している程。

2人目は、マティルド*3

マティアスが相続した家に長年暮らしている老婦人マティルド。英語教師、 マティアスががっかりする程とても健康。

3人目は、クロエ*4

マティルドの娘。マティルドと同居中、母と同じく英語教師、そして不倫中。

 

物語が進むに従い、 マティアスの父親とマティルドの関係が明らかに…。

そしてストーリーは暗く悲しい方向へ…。

しかし終盤、3人に希望の光が見えてきます。

 

自分の意志を貫いた所為で周りが不幸になったり、自分の失敗を全て人の所為にしたくなったり。

人生は辛い…。

けれど、生きてさえいれば、いいことだってある。

愛と憎しみは正に背中合わせ 。

そんなことを見終わって感じました。

見た後に小さな幸福感を感じられる映画だと思います。

 

ツイッターでも少し感想を書いてみました、こんな感じ。

  

salon d'hiverというのは「冬の間(ま)」のこと、マティルドの住む家の一室です。

とても雰囲気のある歴史を感じさせる一室で、庭を背景にして「冬の間」にマティルドが佇んでいるシーンなどは、現代のパリを舞台にしたお話なのに、まるで古にタイムスリップしたかのよう。

マギー・スミスの醸し出す厳かさも相まってそう感じさせるのかもしれません。

 

物語は、真実が明らかになるにつれ暗雲が立ち込めてくるのですが。

そんな中でも、この映画には「笑い」があります。

悲しみの最中にあっても、不思議なことに、逞しさ・明るさ・軽やかさを感じる映画です。

中でも、チョット引っかかったのは「ワーワー」

Francois Royフランソワ・ロワ*5という人物の名前を マティアスが茶化して「ワーワー」と何度も呼びます。

-oisでも-oyでも、同じ[wa]と発音するから、「ワーワー」。

そんなフランス語発音の面白さを皮肉めいて言っているのですが、それが可笑しいんです。

私も映画館からの帰り道、何か面白い「ワーワー」はないかなあ…と、ずっと考えてました。

けれど思いついたのはコレくらい。

Je vois le cinema trois fois.

私はこの映画を3回見ます。

vois trois foisでワーワーワー

ちょっと無理矢理かもしれない、やっぱり厳密に言うと発音の違うワーワーワーかも。

もっと面白い「ワーワー」が思い浮かぶといいんだけど。

 

また、主要な登場人物3人以外でも注目すべき面白い登場人物がいました。その人物とは、「パリの動脈に住む不動産王*6」です。

彼の自宅は文字通り「パリの動脈」上にあり、家が個性的なら、インテリアだって個性的!

面白い小物の数々に目を奪われました。私には、キティちゃんらしきものもあるように見えましたよ。

 

そして、マティアスの心境の変化を描いたシーンで、特に私が気に入ったシーンがありました。それは終盤、セーヌの畔で、女性とオペラの掛け合いをするシーンです。

映画の序盤でも、その女性は登場するのですが、その時は、一人でアリアを歌っています。マティアスも別にそれに参加しようなんて気は起こしません。

しかし、終盤では、歌で掛け合いをしてしまう訳です。それだけ、マティアスの人生に光が見えてきたと言うか、少し浮足立っているような…そんな感じを表しているんでしょうね。とても微笑ましく素敵なシーンです。

でも、残念ながら私にはそれが何のオペラなのか、わからないんですよね…。色々と検索して見たけれど、未だ解らず仕舞いです。

オペラに詳しい人間がいても、自分が歌ってみる以外、説明の仕様がないのが辛いところです。歌の説明って難しいですね。

 

映画を見終わって、主演のマティアスを演じていた俳優さんはとても魅力的だったなあ、と思いながら、映画館を後にしました。

でも、あの笑顔、何かの映画で絶対見たことがあるような気が…?

何の映画だろうと、ケヴィン・クラインフィルモグラフィーを調べてみると。

ありました。私の大好きな映画。

コール・ポーター!!

マティアスを演じたケヴィン・クラインは、 私にとって、『五線譜のラブレター*7で見たコール・ポーターでお馴染みの人物でした。

とても好きな映画です。

五線譜のラブレター 特別編 [DVD]

*1:原題は、MY OLD LADY

*2:演じるのは、ケヴィン・クライン

*3:演じるのは、マギー・スミス

*4:演じるのは、クリスティン・スコット・トーマス

*5:演じるのは、ステファン・フレイス

*6:演じるのは、ドミニク・ピノン

*7:2004年、原題はDE-LOVELY